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2020-04

山刀伐峠(なたぎりとうげ) もがみの旅④-1

山刀伐峠2012-06-19 14.08.45

堺田からバスで山刀峠(なたぎりとうげ)に向かう。此処から芭蕉は峠を越えて尾花沢方面に向かったという。
ちょっと物騒な名前の通り、此処は鬱蒼と木々が生い茂り、昔は山賊が出没していたらしい・・・

芭蕉もこの峠を越えたいと思ったが、地元の人に、道もはっきりしない、非常に危険な場所だから、道案内人と一緒に行った方がいいと言われ、人を頼む事にする。すると、屈強そうな若者が刀を腰に差してやって来て、先導してくれたという。

芭蕉はいつか危険な目に遭うのではないかと、恐る恐るついて行く。が、後で案内人の男から、この山道では必ず何か悪い事が起きているけれど、とにかくも何も起きなくて幸運だったと言われ、あらためてぞっとしたらしい。

今、山伐峠までは、数十分で登れる手頃なハイキングコースが出来ている。まず全員で軽い準備体操をして歩き始めた。細い道を登り、時々車道に出るが、又そこを横切って細い道を登る、という風にして峠へ向かった。
あいにく雨がパラついていたが、程なく峠へ出た。お参りをして引き返し、途中迎えに来てくれたバスに乗ったが峠に着いた時は、尾花沢方向に続く道が見えて、このままそちらに歩いてみたいね、という人もいた。

堺田駅 もがみの旅③-3

堺田駅2012-06-19 13.49.23

使っていないホームには此処は分水嶺、西方向が日本海、東方向が太平洋となっていた。
此処は東北を東西に抜ける場合、そのど真ん中、おへそみたいな位置なんだね。


分水嶺 もがみの旅③-1

分水嶺20081107IMG_4151


封人の家の前の道路を渡ると、分水嶺までちょっとした散歩道が続く。道端の花々を眺めながら歩くと、ほどなく分水嶺に辿り着く。此処は私のブログで以前紹介した。(過去記事 2012年10月4、9、14日が最上での音楽祭の記録)
実はもう何度も訪れているので、今回写真を撮らず、昔の写真を探していたら、これは結構古く、2008年に撮影したもの。と言う事は、もう最上を訪れて5年以上が経っているんだと感慨深かった。

平地で、民家がすぐ近くにある場所で分水嶺に出会えるなんて不思議だ。そういうちょっと変わった場所である。
近年、パワースポットが注目されていて、此処にも大型バスが来たとか。
パワースポットとは何だろう。原風景、水や木や石等、自然の中に存在するエネルギー、不思議な気とでも言うのだろうか・・・あまりに文明が進み過ぎた現代、人工的な物が過多になっている時代、原初的なものに五感を研ぎ澄ませてみる時間はとても大切なのかもしれない。

この場所は、陸羽東線の堺田駅がすぐ隣である。今は単線となっているから、向こうには草の伸びて使われていないホームが。そしてこちらには無人のホームが。滅多に通らない列車が丁度入って来て、皆、思わず身を乗り出して見に行った。

封人の家 もがみの旅②

2012-06-19 封人ブログ アップ13.29.08

封人の家とは聞き慣れない言葉である。辞書でひくと封人とは国境を守る人。奥の細道「封人の家を見かけて舎(やどり)を求む」とある。
松尾芭蕉は曽良と共に、尾花沢の俳人、鈴木清風を訪ねるべくこの地を訪れる。元々はこのルートを通る予定ではなかったらしい。手形(通行証)の不備で、尿前(しとまえ)の関、つまり関所で引っ掛かり、かなり時間を取られてしまった。そしてこの最上の東の入り口にある一軒の家に泊めてもらう事になる。それがこの写真の家だ。

家に入ると結構広い土間になっていて、右手に馬の寝床がある。左手の住居部分は高くなっていて、まず上がり口に囲炉裏、続いて家人の住む部屋ー現在は畳が敷いてあるが、元々は板の間だったとか。そして奥へ進む程に部屋の格が上がって行く。畳がしつらえられ、天井が張られ・・・お役人の為の部屋だそうである。
お役人の部屋に入る為の入り口も違う。家畜のいる土間からは部屋に上がらないのだ。

最上地方は雪が深い。昔は行き来も容易な事ではなかった。それでこの地方を治める殿様は、その地方の多分有力者なり、信頼のおける人物に役人の行う様な仕事の権限を与えて、この街道を行き交う人のチェックをさせていたとの事。なにしろ此処は今なら宮城と山形の県境、昔ならば国境(くにざかい)である。

この家の囲炉裏は今も使っている。この写真に写っている方が、鉄瓶で美味しいお茶を淹れ、説明をして下さった。
私達は囲炉裏をぐるっと囲み、お話に耳を傾けた。

芭蕉の有名な句
蚤虱 馬の尿する 枕元(のみしらみ うまのばりする まくらもと)

芭蕉は此処の板の間で夜を明かしたのではないかとの事。
のみとしらみに悩まされ、馬がオシッコをするのも聞きながら眠れぬ夜を過ごしたというのも、この家に入ってみるとよくわかる・・・馬は同じ家の中、目と鼻の先にいるのだから。
ちなみに尿は「しと」とは読まず「ばり」と読むということが原本から判明したそうだ。

煙が舞い上がり、梁もすっかり燻(いぶ)されて、家からは長い長い年月を感じさせられた。
同時にゆったりした時間も流れて行った。



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