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封人の家 もがみの旅②

2012-06-19 封人ブログ アップ13.29.08

封人の家とは聞き慣れない言葉である。辞書でひくと封人とは国境を守る人。奥の細道「封人の家を見かけて舎(やどり)を求む」とある。
松尾芭蕉は曽良と共に、尾花沢の俳人、鈴木清風を訪ねるべくこの地を訪れる。元々はこのルートを通る予定ではなかったらしい。手形(通行証)の不備で、尿前(しとまえ)の関、つまり関所で引っ掛かり、かなり時間を取られてしまった。そしてこの最上の東の入り口にある一軒の家に泊めてもらう事になる。それがこの写真の家だ。

家に入ると結構広い土間になっていて、右手に馬の寝床がある。左手の住居部分は高くなっていて、まず上がり口に囲炉裏、続いて家人の住む部屋ー現在は畳が敷いてあるが、元々は板の間だったとか。そして奥へ進む程に部屋の格が上がって行く。畳がしつらえられ、天井が張られ・・・お役人の為の部屋だそうである。
お役人の部屋に入る為の入り口も違う。家畜のいる土間からは部屋に上がらないのだ。

最上地方は雪が深い。昔は行き来も容易な事ではなかった。それでこの地方を治める殿様は、その地方の多分有力者なり、信頼のおける人物に役人の行う様な仕事の権限を与えて、この街道を行き交う人のチェックをさせていたとの事。なにしろ此処は今なら宮城と山形の県境、昔ならば国境(くにざかい)である。

この家の囲炉裏は今も使っている。この写真に写っている方が、鉄瓶で美味しいお茶を淹れ、説明をして下さった。
私達は囲炉裏をぐるっと囲み、お話に耳を傾けた。

芭蕉の有名な句
蚤虱 馬の尿する 枕元(のみしらみ うまのばりする まくらもと)

芭蕉は此処の板の間で夜を明かしたのではないかとの事。
のみとしらみに悩まされ、馬がオシッコをするのも聞きながら眠れぬ夜を過ごしたというのも、この家に入ってみるとよくわかる・・・馬は同じ家の中、目と鼻の先にいるのだから。
ちなみに尿は「しと」とは読まず「ばり」と読むということが原本から判明したそうだ。

煙が舞い上がり、梁もすっかり燻(いぶ)されて、家からは長い長い年月を感じさせられた。
同時にゆったりした時間も流れて行った。



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