FC2ブログ

2020-04

最初のピアノの先生 その2

私には姉がいてピアノの練習をするし、時には静岡の先生のご実家でなく、我が家でレッスンする事もあったので、私には音楽は耳学問的な入り方でした。姉が間違えている所を同じ様に弾くので
「また、ちゃんと楽譜を読んで来なかったね。」と注意された事もじばしば!

やめる人もあるけれど新しく入る人もあり、お弟子さんも増え、レッスンも軌道に乗り、ホールを借りて発表会を行う事になった。晴れ着を着せられて、リボンもつけて、客席には大勢の人達が見に来ている・・・言われた通りに弾けばいいのだけれど、なんだかちょっとドキドキ。でも、私はまだ小さかった。晴れ着の言葉通り、これはお祭りと同じ様にハレの日、緊張と一緒にあるワクワク感もあった。無事演奏して舞台袖に戻って来ると、他の年上のお姉さん達は心なしか青ざめて、目をつぶっていたり、楽譜の上でしきりに指を動かしたりしていたのを思い出す。

ところが・・・子供心に忘れられないのは、あのI先生が極度の緊張からか、楽屋でいささか暗い表情をしていた事だ。自分は演奏も終わってルンルン気分で先生の所に報告に行ったら、この日ばかりは「よく弾けたね。」と褒めて下さったが、その後に「いいわねぇ、ゆりちゃんみたいになりたい・・・」と言われた事は忘れられない。
「えっどうして?」と先生に聞き返した覚えがある。すると、先生は、生徒の演奏が全て終わった後に演奏する事になっているのだが、出番が近づくにつれ、震えが来たり、いてもたってもいられなくなるそうなのだ。先生は極度のアガリ性だったのだ。
「先生はピアノ上手だから平気だよ~。」「いや、駄目、駄目なの。」そんな会話をしたように記憶している。
私は何だか、だんだん先生が気の毒になって、「先生、じゃ、こういうの、やめちゃえばいいじゃん。」
これ、静岡弁?!今思えば、のうてんきに言っちゃったものだ。
すると、先生はじーっと私を見つめて、「それはやっては駄目なの。やめるのはね。」と自分に言い聞かせるように言った。
全く私は子供だった。姉に言わせれば、あの先生に平気でそんな事を言えるのは、あんた位だと笑われた。
結局、先生はやや硬い表情ながらもブラームスのソナタを見事に弾きこなし、発表会は無事終了した。
けれど、その後何度も開かれた発表会で、皆が先生の演奏を楽しみに待っていても、結局舞台に出て来れなかった事が何度かあった。完璧主義で、動揺した状態で演奏に臨み、自分が思ったように弾けないなんて、想像しただけでも許せなかったのではないかと思う。
鋼(はがね)の様に強い面と、薄いガラスの様に繊細な面と両極面を持ち合わせている方だったとつくづく思う。



スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://t9s8y6y4.blog100.fc2.com/tb.php/213-42f1c43e
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

«  | ホーム |  »

プロフィール

yuripeko

Author:yuripeko
FC2ブログへようこそ!

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (43)
雑感 (33)
音楽 (23)
東日本大震災 (26)
映画 (1)
山 (21)
スポーツ (23)
行事 (8)
旅 (22)

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる