2017-08

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

最初のピアノの先生 その6(中学時代)

遂にピアノを続ける事に限界を感じたある日、私はどこからか帰って来た母親を、玄関で呼び止めた。
「ピアノ、もう止めたいんだけど・・・」
「・・・・・」
母は、遂に切り出されたかと言う様な顔をした。
「お母さんは、大体何で子供達にピアノを始めさせたの?同級生のI先生が生徒を集めていたから?」
私がそう聞くと母はこう答えた。
「それもあるけど自分の経験からよ。私は小さい頃、ピアノを習った事がなかったから、ピアノが弾けたらいいな・・・と思って大きくなってからちょっとだけ習いに行ったのよ。でも上手くならなかった。ピアノって小さい時からやらないと駄目だって、その時、心底思ったの。だからIさんがピアノを静岡でも教えるという話を聞いて、いいチャンスと思って子供達に始めさせたのよ。」

「でもね、今、本当にピアノがイヤ。止めたいんだけど・・・」
と私が言うと、母はしばらく黙っていて、こんな風に答えた。
「まあね・・・いつかそう言って来るだろうとは思っていたけど。ただね、女の人が例えばこれから学校が終わって結婚してってなって行くとするじゃない?その時に、なんか自分のものがあるといいと思ってね。
ま、それがピアノで良かったかどうかはわからないけど。でもまぁ、そう思って始めさせたら、あんただけが今日までずっと続けて来たから、このまま行けばと思っていたけれど・・・仕方ないわね。そこまでイヤなら好きにしなさい。」

人間って不思議。もし「何、言っているのよ、ここまで続けて来て。止めちゃったら駄目でしょ!」
と言われたら、その瞬間に私の中のダムは決壊し、そこでピアノは終わっていたかもしれない。
けれど「女の人がこれから・・・何か自分のものがあるといいと思って。」
の、くだりは妙に自分の心の中にグイと食い込んで来た。

母は若い時、確か十代で母親を亡くしているのもあってか、子供にも自分の事は自分で考えてやりなさいタイプであった気がする。我が家は人の出入りも多くて、母は毎日の様に人の世話や相談、用事等に明け暮れていたので、普通の母親というよりはどこか公人?という様な感覚も私にはあった。だから今回の事も所詮自分で決めるべき事だから、とは思っていた。けれど黙って止める訳にも行かないし、思わず気持ちをぶつけていた。
すると、この時母は、私の悩みを受け止めてくれて、自分の経験を話し、さらには直球を投げて来た気がする。
「自分が一生向き合えるものを持ち続ける事は大事じゃないの?」
正面から問いかけられた思いがした。
しかも、最後に「止めてもいい。」の逃げ道も作ってくれた。
でもこの時、私は完全にむしろ逃げ道を失った!
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://t9s8y6y4.blog100.fc2.com/tb.php/218-e6a63249
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

«  | ホーム |  »

プロフィール

yuripeko

Author:yuripeko
FC2ブログへようこそ!

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (43)
雑感 (29)
音楽 (23)
東日本大震災 (26)
映画 (1)
山 (21)
スポーツ (22)
行事 (8)
旅 (22)

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。